マネージャーが育休を取得するときに気をつけたこと

この記事では、マネージャーである私(男)が、育休を取得するときに気をつけたことや取り組んだことについて紹介します。 「いなくても業務を円滑に回す」という大方針を軸に、自分なりに段取りを整えました。 ドワンゴでのマネージャー業務の一例として、育休や長期休暇を取得する際のノウハウの一例として、参考になれば幸いです。 育休は1ヶ月間でした。 より長期の休暇を取得する際にはさらに追加で対応が必要なこともあるかもしれませんが、基本的な考え方は変わらないと思います。

なお、育休を取得する際の社内や行政の手続きおよびそのノウハウについては記載しません。 休暇中に業務を円滑に回すための取り組みにフォーカスしてご紹介します。

大方針「いなくても業務が円滑に回るようにする」

育休を取得するにあたり、「私がいなくても業務が円滑に回るようにする」という大方針を念頭に置きました。 このように想定するに至った前提としての私のマネージャー業務をご紹介した上で、方針の実行に向けての段取りをお伝えします。

マネージャー業務

マネージャー・管理職の担当業務は会社によって、内部組織によって、組織内のメンバー同士の関係性によって様々にあると思います。 ドワンゴも同様で、マネジメント領域は当人や所属する組織によって様々です。 また、マネジメントだけでなくプレイングマネージャーとして活躍している方も多いです。

私の場合は、Webフロントエンド、iOSアプリ、Androidアプリの3つのチームのマネージャーという職位です。 私の担当業務は、これらのチームのピープルマネジメントの他、プロジェクトマネジメントの割合が多く、プロダクト・テクノロジーも多少みています。 それぞれのチームにはリーダーがおり、コーディングやレビューといった開発業務については、リーダーを中心にすでに業務が回っているため、私の開発業務は現状ではほとんどありません。 全体としては、人と話したりドキュメントを書いたりといった業務が主です。

方針の実行に向けて

私が担当する業務では、関係各所との調整や情報連携といった人と人の間を繋ぐ業務が多いです。 育休に入った際には、情報連携の滞りや、それに伴ってチームで必要な判断ができなくなる可能性があります。

この対応として、「いなくても業務が回るようにする」ために、大きく3つのステップで進めていくことにしました。

  1. 現状の洗い出し 私は複数のプロジェクトに関わって複数のチームと連携している他、ピープルマネジメントや技術領域での突発的な対応も少なくありません。 私の担当業務をあらためて明確にし、何に対応しなければならないかを洗い出すことにしました。
  2. 担当業務の引き継ぎ 洗い出した対応内容に対して、個別に担当者を検討したり、具体的に仕組みをととえたりしました。
  3. 実際に業務から抜ける なにかあっても私の手の届く範囲でリカバリできるようにしました。

現状の洗い出し

現状の洗い出しは、以下の手順で進めました。

  1. ひたすら業務内容を記録する
  2. 業務内容を分類する
  3. 対応方針を検討する

ひたすら業務内容を記録する

まず、私が育休を1ヶ月取得する予定であることを念頭に、1ヶ月間ひたすらに業務内容をスプレッドシートに記録しました。 ミーティングがあったこと、Slackでメンションがあったこと、自分が手を動かして作業したことなど、その内容ごとに個別に書き起こしました。 その後で業務内容を分類するのに利用するため、業務時間や具体的な決断は記録していません。

業務内容の記録例

業務内容を分類する

次に、業務内容を分類しました。 しばらく記録しているとある程度の傾向が見えてきたため、大きくマネジメント領域、定型・非定型、業務への関わり方の3軸で分類してみました。

  • マネジメント領域 その業務が属する領域を、プロダクト・プロジェクト・テクノロジー・ピープル・その他の5つに分類
  • 定型・非定型 その業務が定期的に発生する定型業務か、突発的に発生する非定型業務かで分類。定型業務の場合は、さらに週次・月次・その他で分類
  • 業務への関わり方 その業務において私が何をしたかを、情報収集・意思決定・ナッジング・ロールモデル・作業の5つに分類

分類してみたところ、3つの軸のすべての掛け合わせだと、「プロジェクト・週次の定型・情報収集」(14%)、「プロジェクト・非定型・作業」(12%)、「ピープル・非定型・作業」(10%)といった業務が上位でした。 また、特徴的な部分では、マネジメント領域の軸で、プロジェクトがおよそ40%、ピープルがおよそ30%を占めていました。

対応方針を検討する

最後に、この分類結果に基づいて対応方針を検討しました。

プロジェクトに関する業務の割合が多いことから、各プロジェクトについての引き継ぎが必要なことが明白でした。 これには、チームで小規模ながら始めていた、各プロジェクトへのプロジェクトマネージャーとしてのメンバーアサインをより強く進めていくことにしました。

ピープルに関する業務の割合も多く、具体的な内容としては定型業務は1on1、非定型業務は採用に関わる連絡が占めていました。 1on1はメンバーと週次や月次で開催していますが、1ヶ月という期間のため、特に引き継ぎなどはしないことにしました。 それぞれのメンバーはリーダーや周囲のメンバーとも定期的に1on1をしており、私との1on1のみがコミュニケーションパスではないことも理由です。 採用に関する非定型業務は担当者を定めておく必要があります。

また、これらの観点以外にも、定型で発生する業務を中心に対応が必要な点をリストアップしていきました。 例えば、私はメンバーの勤怠や経費精算をはじめとする申請の承認をしています。 地味ながら定期的に発生する業務もひとつずつ挙げていきました。

引き継ぎ先の連携

現状の洗い出しをもとに、具体的に引き継ぎ担当者を決めていきます。

まず、大きな課題であるプロジェクトマネージャーについてです。 育休を取得するしない以前に、私がマネージャーとして情報を集約しやすかったり、関係者間と連携を取りやすかったりする立場上、プロジェクトマネージャーになるケースが多くあり、これはもともと課題に感じていました。 この機に、私が抱えているプロジェクトの他、新規に立ち上がりそうだったプロジェクトについて、個別にプロジェクトマネージャーをアサインすることにしました。

解決策としてはシンプルに、希望者を募りました。 幸いにして、メンバーのみなさんそれぞれにサービス・プロジェクトに対する思い入れがあり、希望に基づいて必要な分だけプロジェクトマネージャーを任命できました。 プロジェクトマネージャー任命後には、私が知っている関係者やコミュニケーションパス、またプロジェクトの進め方について共有する場を設けました。 その後は個々人の経験や習熟度に応じて、プロジェクトを伴走したり壁打ち役になったりしながら、プロジェクトマネジメントをおまかせしました。

採用に関しても、選考フローがすでに出来上がっていたので、各チームのリーダーを中心に、私が抜けた穴を埋める形でエスカレーションすることで対応しました。

その他、承認経路や私が運用責任者になっていた SaaS 類、社外との連絡窓口といった細かな部分も、適任と思われる担当者に引き継ぎをお願いしました。

最終的に、育休に伴うこれらの引き継ぎ先やスケジュールを1枚のドキュメントにまとめました。 引き継ぎ先についてどこの誰に連絡するときも、これを渡しておくという資料は扱いが便利でした。

実際に業務から抜ける

育休に入る2週間ほど前から、実際に業務から抜け、引き継ぎ担当者にお任せしていきました。 何かしらの問題が発生したときに、引き継ぎが必要な箇所を明確化し、引き継ぎに必要な時間を確保するためです。

実際には、私が育休に入ることや業務から抜けていくことについて、引き継ぎ担当者他チームのみなさんにもご理解いただいていたため、大きな混乱なくこの時期を終えられました。

副次的な効果として、各種ミーティングから抜けたことで、入院中の妻子に面会に行く時間を確保しやすくなりました。 ドワンゴでは裁量労働制を採用しており、業務時間中の中抜けについても制度上および文化上広く受け入れられています。 病院は基本的に日中しか面会に行けないため、非常に助かりました。

その他、空いた時間では、育休中のチームに向けて、あるいは育休明けの自分に向けて資料を作成していました。

育休期間中

ドワンゴ特有の育休期間について簡単にご紹介します。

ドワンゴでは、育休期間中も Slack を見ることができます。 もちろん、業務は厳禁ですが、業務以外にも様々なコミュニティがあります。 特に、 #ikuji という育児に関するチャンネルがあり、有用な情報が多く集まっているため、とても参考にさせていただきました。

業務に関しては、 Slack のスクリーンネームに育休中の旨を明示していた他、みなさんにご理解いただけていたためか、ほとんどメンションをもらうことはありませんでした。 メンションがきたとしても、業務の返事はしないと鉄の意志で決めていて、共有資料にも記載していました。

業務の連絡には鉄の意志で反応しません

おわりに:育休をとってみて

育休は1ヶ月という期間でしたが、非常に充実していました。 取得して本当に良かったです。 1ヶ月は短いと感じる読者もいらっしゃるかもしれませんが、これは家庭内での相談で決めました。

育休の取得に際して、周りの方々からは祝福と、頼りになる言葉をもらいました。 もっと長くとってもいいのではないかという上長や先輩ママパパのアドバイスをもらったり、1ヶ月でももっと長くても業務はうまく回しておくので任せてほしいと話してもらったりしました。 とても温かく前向きな声をかけてもらえたおかげで、育休期間中も後ろを振り返らずに家庭のことに専念できました。

ここからはさらに個人的な所感になりますが、私は教育を生業とする人間として、教育機会をユーザーに提供するだけでなく、自分たちもまた貴重な教育機会を活かし、携わっていけるようにしていく必要があると考えています。 今回、私が育休を取得する立場として周りの方に支えてもらうことを通じて、組織としてそれぞれのメンバーが自身の子育て等を通じて教育に携わっていくことができる環境を整えていくことが大事だと実感しました。 これは、マネージャーとしての職責でもあります。

今は、フルタイムで仕事をしながら業務中の育児は妻に担当してもらっています。 育休は終わりましたが、育児はまだ最初の1ヶ月が終わっただけなので、これからは育児と仕事の両立を頑張っていきます。

最後に、ドワンゴ教育事業での他の育児に関する事例についてご興味のある方向けに、以下のインタビュー記事も紹介します。

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