こんにちは、ZEN Study 企画チームの井手です。 2024年8月28日に、ドワンゴが提供しているオンライン学習システム「N予備校」は「ZEN Study」に生まれ変わり、ホーム画面を中心に見た目も機能もリニューアルしました! 私は今回そのホーム画面の企画をメインで担当させていただきました。
ここでは、企画・デザインの観点から、なぜ名称を変更したのか、どんなユーザー体験を目指したのか、そこに至るまでの苦労話などができればと思います。
※フロントエンド開発の視点からの関連記事もあります。
名称変更の背景
N予備校は2016年の誕生時、高校生をメインターゲットにしていました。しかしその後、中高生から一般の大人にまで活用いただけるよう成長してきたため、以前からあらゆる世代の学びに応えられるサービス名称に変えたいという話があったようです。 (自分も入社前の話なので社内の有識者から聞きました)
サービスの名称変更は、名前だけ変えれば良いというものではなく、やはりそこはZEN Studyとしての新しい学習体験を作る好機でもあります。ZEN Studyは、すべての学びたい人が学びたいものに出会い、自ら学び続けられる場所となるよう、見た目も機能もリニューアルしていく事になりました。
…ということで、サービス名称変更という開発に携わっている人でもなかなか経験できない(?)貴重なプロジェクトが立ち上がりました。壮大な目標ですが、千里の道も一歩から。まずはプロダクトの顔であるホーム画面からリニューアルしていくのが良いだろうということになりました。
案件の概要
ホーム画面は、多くのユーザーが最初に開くページです。 しかし多くのコンテンツがある割には、ほとんど見られず素通りされる場所になっていました。サムネイルもシンプルな写真だけのものが多く、パッと見て何の科目・コースかが分かりにくい状況でした。 Google Analyticsやヒートマップ、ユーザーインタビューなどからは、こんな課題が見えてきました。
学習の入口として、ホーム画面はどうあるべきか。
オンラインゲームのロビー画面や、リアルな自分の部屋の勉強机など、世の中の色々な「入口」を参考に、メンバー同士議論を何度も重ねて固めたコンセプトは
「安心して学習を始められて、ワクワクする場所」でした。
ZEN Studyが目指すのは「全ての人が学びたいものに出会い、自律的に学び続けられる」ようになること。 そのためには、ただ学習できるものがあるだけではなく、学ぶことへのワクワク感も大切にしたい。そして、初めてでも安心して学習ができるようにしたい。そんな場所になる第一歩として、ホームを作っていきました。
苦労した点
どんどん膨らむ将来構想
ホーム画面は、ZEN Studyに初めて来たユーザーから、日々使うコアユーザーまで、様々なユーザーが「学習を始める」場所なので、各状況に応じた検討が必要です。今回はその構想段階において、かなりの検討事項がありました。その理由としては以下のとおりです。
- 初めて使うユーザー、日々使うユーザーの2パターンで検討した
- 学習体験をZEN Study全体で考えないとホーム画面の設計の良し悪しの判断が難しかった
- 少し先の未来まで考えて、最初の一歩を実装するというやり方をしていた
例えば、初めてZEN Studyを使う人であれば、自分がやりたい学習コンテンツを探すことが重要になってきます。 日々使っている人であれば、続きからの学習をスムーズに開始する仕組みや、昨日までの成果を可視化してモチベーションを上げる施策も欲しくなります。
少し先の未来まで考えて、最初の一歩を実装するやり方については、「将来的にはこうなっていく」というビジョンが他機能の企画にも非常に役立つ一方、検討事項が膨らみすぎて最初の一歩の開発がどんどん遅くなってしまうというマイナス面もありました。将来構想は持ちつつも、具体的な要件定義は、今回特にフォーカスすべき体験に絞るなどで、うまく開発スピードとのバランスを取りたいところです。
また、以前からやろうと思っていた改善をこの機に盛り込んだり、ホーム画面に合わせて関係箇所も修正していくと、さらにスコープも広がっていってしまいます(実際に広がりました)。この結果、元々の目的から逸脱する修正も盛り込まれることになり、開発者がなぜそれを行うのかが分からず議論がまきおこったり、限られた開発工数を圧迫していく原因となりました。
自分は企画兼プロマネとして関与していたのですが、ホーム画面はステークホルダーが多いこともあり、こうしたスコープの制御についてハンドリングしきれなかった部分があり反省です。UIレベルの小さな変更でも塵も積もれば山となるため、優先度を付けて共有・管理し、デザイナーや開発と合意して進めるというのが本当に重要ですね。
ユーザーインタビューの体制が整っていない
プロダクトを作るうえで、ユーザーの課題を深堀りできるユーザーインタビューはとても有効な手段です。ZEN Studyのコアユーザーは角川ドワンゴ学園の生徒で、教職員の方とは普段からやりとりもあり距離感は近いものの、企画のインタビュー体制が整っておらず、これまでなかなか実行できずにいました。また、開発側にもユーザーインタビューに関する豊富な知見がなかったため、まずは社内にいるインタビュー可能なメンバーから小さく実施し、ユーザーインタビューの勘所をつかむ、ということをやりました。
今回はたまたま社内でアルバイトいただいているN高出身者の方が複数いらっしゃったため、どの様に学習していたかを伺うことができました。社内なのでハードルは低く、かつ実際に学習していた経験をお持ちなのでリアルなご意見を伺うことができ、社内で探すというのも手軽な方法として有効だと感じました。 ただし、当時のUIとは変わっている点もあり、その部分は聞けないので、何が同じで何が違うのか、インタビューする側も事前に把握しておくことが重要でした。
案件の規模によってはインタビューをせずに開発することも多いので、どうしても体制構築が後手になりがちですが、今後はインタビュー体制を構築していけるといいなと思っています。
こうして数々の苦労を乗り越えて、2024年8月末にZEN Studyがリリースしました!
リリース後の反応
リリース直後は、やはりサービス名称が変わることへのインパクトが大きかったようで、「N予備校」がなくなった寂しさや、いままでありがとう、という声がSNSやアンケートで挙がっていました。それだけN予備校は沢山のユーザーに親しまれてきたのだなと感じました。
ホーム画面が学習を始めるときの起点になっているかどうかについては、ZEN Studyになってから徐々にホームから学習を始める人が上昇傾向にあります。
今回、サムネイルの変更があり、見た目の印象が大きく変わっていますが、名称変更に比べて、UIに関する目に見える反応は少なめでした。機能やレイアウト単位の大きな変更はなく、ほぼこれまで通りの使い勝手だったためかもしれません。
おわりに
今回の案件で、名称変更というサービスの転換点に携わらせていただき、プロジェクトのステートメント作成やユーザーインタビューなど、丁寧な企画プロセスを経験することができました。また、検討範囲を広げすぎることの大変さも知ることができ、いち企画者として良い経験を積むことが出来ました。
そしてリリース後は、これまでの案件以上にユーザーの反応を直に見て、サービスの名前というのは、ユーザーに愛着を持っていただけているものであるということを痛感しました。 今後、画面名を変更する際も、これまで慣れ親しんだ名前から変わることの影響に配慮していきたいと思います。 新しくなったZEN Studyにも親しみを感じていただけるよう、今後もチームで力を合わせてより良いサービスの企画・開発を頑張っていきます!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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