e-learningプロダクト開発部データ活用システム開発セクションでなんとか働いている堀です。 6月27日から7月3日までソウルでひらかれたFestival of Learning 2026に参加してきました。 本記事では、参加・聴講・発表で得られた気づき・感想をレポートします。
Festival of Learning 2026とは
Festival of Learning 2026 とは、教育×AIを代表する3学会(AIED・EDM・L@S)が合同で開催した国際学術イベントです。 同じ日程・場所で合同で開催されることで、参加者はそれぞれの会議のセッションを自由に行き来できるようになっています。 今年は、3つの学会のいずれにおいても論文投稿数が過去最多となりました。 このことからも、教育におけるデータ・AI活用領域への関心がこれまで以上に高まっていることがうかがえます。
場所はソウルの韓国総合貿易センター(COEX)で行われました。 会場がすごく大きくて驚いたのですが、後で調べると会議室だけでなくショッピングモール・賭場・水族館などが併設されており、総合複合施設になっているみたいです。 また向かいが大きな寺院になっており、窓ごしに大仏が見えるのが印象的でした。

ドワンゴからは、EDMにおいてショートペーパーが一本採択され「Estimating IRT Parameters from Text via an ICC-Based Supervised and Contrastive Loss」というタイトルで堀が発表しました。
Estimating IRT Parameters from Text via an ICC-Based Supervised and Contrastive Loss
「問題テキストから直接難易度を推定するモデルを作った」というネタで話させていただきました。 以前の人工知能学会の記事と同じ内容です。
項目反応理論はテストに対する応答に基づいて被験者及び設問の特性を測定するフレームワークであり、N高グループ内部においても、これに基づく生徒の学力測定・問題難易度測定を段階的に導入しています。 ただ、これで新たに問題難易度を測定すると、測定のたびにユーザーにテストを解いてもらわなくてはいけないので大変です。 なので、既に得られた少量の難易度データを教師データとすることで、テキストから直接問題の難易度を推定するアプローチが先行研究で行われています。 本発表では、そこで用いられる損失関数を改良することで、より適切なパラメータ推定が可能になったことを報告しました。
論文自体はこちら(PDF・html)で閲覧できます。 また、具体的な手法・アルゴリズムに関して別途開発者ブログを書いており、詳細は続報をお待ちいただければ......
初めての査読付き国際会議だったので緊張しました。 それもあり、質問を勘違いして変な回答しちゃったり、HDMI変換アダプタを会場に置き忘れるなど、色々とミスをしてしまいましたが何とか致命傷にはならずに発表できました。 ちなみにEDM 2026のbest short paperの候補に選ばれました。 候補どまりでしたが、総投稿数114本・採択数24本の中で5本しか候補に選ばれなかったことを考えると、健闘したのではないでしょうか。 教育サービス開発チーム内では初の海外出張・国際学会参加のため、「ひょっとして自分が失敗したらもう二度と行われなくなるかも……」とひやひやしていたのですが、いいニュースを持って帰国できてよかったです。

全体の発表について
全体としては、大規模言語モデル(LLM)まわりの話が多くを占め、既存の教育とどう組み合わせるのか多くの人が模索しているのを感じられました。 LLMの研究と一言で言っても、「評価」「活用システム作成」「ファインチューニング」「RAG」「データセット生成」などいろいろな切り口があり、LLM応用の出口の多様さが感じられ面白かったです。 特に印象的だったのは、「Build and Deploy Microservices for Automated Feedback」というワークショップの話です。 その方の話では、LLMの恩恵を受けられる言語と、そうでない言語との間で、新たな教育格差が生じているとのことでした。文字を持たない少数言語(その方の母語も文字を持たないそうです)や、Spanglish(スペイン語交じりの英語)のようにデータとして蓄積されにくい言語では、LLMを十分に活用することが難しいという、教育×AIならではの課題があるそうです。
他の教育ならではの課題としては、プライバシーを意識した研究が多かったです。 フェデレーテッドラーニングや、画像をサーバーに送らず特徴量のみを送る画像診断モデルの作成、ローカル小規模言語モデル(Qwen3-8Bなど)の活用など、プライベートな情報を記録させない仕組みづくりを進める研究が多く、ほかのデータ領域に比べよりセンシティブな情報を扱っているんだと再確認できました。
おわりに
国際会議に登壇・聴講・議論が行えて非常に勉強になりました。 面白く学びも多かったため、今後も機会があれば登壇したいので、登壇するに値する研究・開発をやらねばという気持ちでいっぱいです。
ドワンゴ教育事業では一緒に働けるメンバーを募集中です。 ぜひAIの教育応用などのEdTechの未来を作る志のある方は、カジュアル面談やご応募をしていただければと思います。
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