Appleのアカウント削除に関する審査ガイドライン更新への対応

はじめに

こんにちは。
10月に発表された Appleのアカウント削除に関する審査ガイドライン更新のニュースから3ヶ月経ちました。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。

私たち N予備校もこのニュース以来、文字通りの忙しい師走となりました。 それまでは非公開のアカウント削除機能がありユーザーの依頼ベースで対応を行なっておりました。Appleの審査ガイドラインの更新に伴い、これをユーザーがアプリから直接アカウント削除できるように機能提供しました。普段の案件の流れを踏まえながらご紹介します。

おこなったこと

iOS だけではなく Android も対応

件のニュースを受けて先ず iOS とバックエンドチームが動き出しました。あれができる、これができないなど話が進むうちアカウント削除機能は iOS だけでなく別クライアントでも対応することになりました。iOS 以外のクライアントでも提供することでユーザーにメリットがあることや、他クライアントでも実装可能な形にしていたことが理由にあります。そして、この機能は iOS と Android の同日リリースとなりました。

アカウント削除機能

アカウント削除を実装するにあたって、特に考慮したのが以下の3点です。

  • アカウントの権限
  • サブスクリプションの期間
  • アカウント削除に伴うセッション切れ

アカウントの権限

この機能で一番慎重になったのはアカウントの権限です。N予備校は N高等学校・ S高等学校や VANTAN といったたくさんの学校や組織にご利用していただいており、さまざまな権限を持ったアカウントが存在しています。アカウント削除によりサービス内での不整合や不適切な挙動が発生しないよう注意を払いました。

サブスクリプションの期間

N予備校では自動更新のサブスクリプションを利用しています。アカウント削除となると、このサブスクリプションの有効期間と削除のタイミングはとても難しい議題になりました。当時は Apple から明確な方針は示されておらずどう解釈すれば良いのか揺れたものです。現状では Human Interface Guidelines Account Deletion項 に記載が増えたので以前より方針がたてやすくなっています。

セッション切れの対応

アカウント削除で大きな問題となるのがアカウント削除によるセッション切れです。この問題は対象となる範囲がとにかく広く、各クライアントやバックエンドが抱える問題も様々なものになりました。

話し合った結果、落とし所して「アプリが落ちないこと、ユーザーにアプリを落とさせないこと」を方針とし、対処方法は各所に任せることとなりました。この方針と対処法を早い段階で決めたことによりスピーディーに案件が進められたと感じています。

品質保証テスト

iOS と Android の両クライアントでそれぞれ実装されたアカウント削除機能は次に QA エンジニアの手に渡ります。以前の記事で紹介した QA チームの品質保証テストにより、リリース前には必ず動作確認が入ります。クライアント間の差異を発見したり、設計者や実装者以外の目線でサービスの挙動に違和感がないかを今回の案件でもチェックできました。

振り返り

教育事業のサービス開発部では案件の振り返りをします。失敗したこと、良かったことなど自分の意思をメンバーへ伝えられる良い場になっています。

今回の振り返りで印象に残ったことは、ディレクターが作成したワイヤーフレームが好評でした。画面遷移とレイアウトを一緒に説明するもので、デザイナーからも仕様把握がしやすくイメージしやすいとのことでした。ワイヤーフレームは今後も挑戦してみようと盛り上がりました。

終わりに

ここまで、アカウント削除機能を提供するまで普段の案件の流れを踏まえながらご紹介しました。 N予備校のアカウント削除機能は開発からリリースまで2ヶ月弱かかりました。今回の Apple からの要件は既存システムに組み込むにはやや骨の折れる機能ですね。

私たちがリリースしようとした矢先、Apple が期限を1月31日から6月30日へ延期と Human Interface Guidelines への案内をニュースに出しました。これには驚いたと同時に正直少しほっとしました。まだまだこの要件に対応している方もいらっしゃるでしょう、参考になれば幸いです。

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